火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)


SO2放出量観測手法

COSPEC,COMPUSSとも,図のような,定点観測法(パンニング法)とトラバース法のどちらかの手法で,噴煙の断面のSO2濃度を測定します.

定点観測法では,ある定点において,噴煙を水平あるいは垂直にスキャンすることで,断面のSO2濃度分布を測定します.一方,トラバース法では,装置を真上に向けた状態で自動車,船,航空機などに取り付け,噴煙の下を通過することで,噴煙の断面のSO2濃度分布を測定します.定点観測法では,一般に観測地点から噴煙までの距離が長いため,噴煙を通過した後で生じる光の散乱により,観測に用いる波長によってSO2濃度が著しく低く観測されることがわかってきました(Mori et al., 2006).この効果が大きい場合は,観測値を補正する必要があります.

噴煙の速度(V m/s)は,ビデオカメラで撮影した噴煙の映像から見積もっています.噴煙の断面のSO2濃度分布と噴煙の速度をかけて,単位時間当りのSO2放出量を算出します.SO2放出量で一般的によく使われる単位は,トン/日(一日当りに放出されたSO2の質量)です.

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