火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)


降水に含まれるトリチウムの濃度

日本でのトリチウム濃度の長期的な観測は東京および千葉において行われています(図のTKY).このデータは放射線医学総合研究所のNETS DBによるものです.降水のトリチウム濃度(縦軸,単位はTU)は原爆・水爆実験がは始まってから桁違いに濃度が高くなっています.このスパイクの痕跡を利用して地下水の平均滞留時間に関する情報を得ることができます.

一方,降水のトリチウム濃度は,緯度の違いにより異なることがわかっていますので,この東京での観測値をそのまま,硫黄島にあてはめることはできません.そこで,1995―1996年にかけて観測した硫黄島における降水のトリチウム濃度と東京での値を比較したところ,硫黄島での降水は東京のそれよりも20-30%低い値であることがわかりました.この結果を元に,硫黄島における降水のトリチウム濃度は東京での観測値の75%に相当する(図のIWO)と仮定し,解析を行いました.

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