火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)


広域の地殻変動

薩摩硫黄島火山周辺に展開されている国土地理院電子基準点から,硫黄島の「鹿児島三島」および「枕崎」,「佐多」,「西之表」,「中種子」,「南種子」,「上屋久1」,「上屋久2」,「屋久」,「口永良部島」の1997年4月以降の座標データを用いて,枕崎に対する水平変位軌跡を青色の点列でプロットしました.この地域においては1996年から観測されている電子基準点と,1997年からのものが混在するので,1997年4月時点を変位ゼロ(赤色の○)としてあります.

四角形は井口ほか(2002a)で議論された京大防災研のGPS観測網の位置です.青色の領域は,1996年および1999~2000年の口永良部島近海の群発地震活動域です.薩摩硫黄島火山周辺の赤色の点線で示された領域は,鬼界カルデラです.

硫黄島の電子基準点は,口永良部島とともに相対変位が1cm以内で小さく,枕崎とほぼ同じ動きをしていることがわかります.明らかに南東方向に相対変位する佐多と種子島のグループと南西~西方向に相対変位する屋久島のグループとは対照的であり,これらの間に何らかの変動境界のようなものを考えてもよいかもしれません.

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