火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)
山頂火口周辺の変質帯分布
Qtz=石英,Trd=トリディマイト,Crb=クリストバライト, Crack=割れ目,Fault=1996〜1997年に形成された割れ目,Crater remnant=現存する火口地形,Mo blue=モリブデンブルー.括弧は存在量が少ないことを示す.
山頂火口内にある酸性熱水による溶脱珪化岩は主に低温型トリディマイト>低温型クリストバライト+硫黄から構成されていますが,モリブデンブルー (Mo5+とMo6+の混合水和物) を産する高温噴気孔付近(写真:火口内の高温噴気孔付近のモリブデンブルー)では二次性の石英も形成されています.
山頂火口の外側では,珪化岩は低温型クリストバライト>低温型トリディマイトと量比が逆転し硫黄を伴いますが,石英はほとんど産しません.また,火口内地表にはほとんど見られない明礬石が,地表下10数m〜50mの外崖堆積物の基質を埋めて産します.NE-SW系に卓越する岩石中の割れ目が非晶質シリカに脈状に充填されていることも多いです.
山腹での変質鉱物は低温型クリストバライトを主とし非晶質シリカ・明礬石を伴います.キンツバ火口付近では金原ほか(1977)によりカオリナイトも報告されています.
Hamasaki (2002)のFig.2, 3を改変.
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