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御嶽火山地質図 解説地質図鳥瞰図
1:はじめに

 御嶽(おんたけ)火山は,日本中部の岐阜・長野県境にそびえる御嶽山を構成する大型の成層火山で,最高峰の剣ヶ峰(標高3,067 m)を含む南北3.5 kmにわたり標高2,800 m以上の峰々が連なる複合火山である.1979年の噴火以降,最近数十年間にも水蒸気噴火が複数回発生し,2014年の噴火では死傷者を出す災害発生した.このように今後も活動を続ける可能性の高い火山であることから,噴火実績図として精度の高い火山地質図を整備することが求められている.

 御嶽火山では,神津(1907)以降に複数の地質学的研究が行われており,数多くの年代測定値(Matsumoto and Kobayashi, 1995; Kioka et al., 1998; 松本・小林,1999)を基に,その活動は約78万年前から39万年前に活動した古期と約10万年前以降に活動した新期の二つに大きく分けられている( 第1図).今回,先行研究をふまえた上で,活動全体を通して層序の再検討と年代測定を行い,活動期間,噴出中心の位置,岩質,噴火様式などに注目して,地質ユニットの再区分を行った.あわせて記録に残る噴火活動などもまとめ,御嶽火山の地質と活動史をまとめたものが本地質図である.

 御嶽山は,かつては御岳山(木曽御岳山)と記されることが多く,火山名も御岳火山と表記されることが一般的であった.しかし地形図名・地名とも「御嶽山」と記されており気象庁の火山名も「御嶽山」であり,2014年の噴火を境に各地にある「御岳」と区別するため「御嶽」と記されることが一般的となった.そのため,本地質図では火山名や地質ユニット名を含めて「御嶽」の表記に統一する.文中の14C年代値については,IntCal20を用いた暦年較正後の値を記した.略記号の意味は以下の通りである.Ma:百万年前,ka:千年前,VEI:火山爆発指数(Newhall and Self, 1982),DRE:溶岩と同じ密度(2,500 kg/m3)に換算した換算体積.


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