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第四紀火山>活火山>御嶽
御嶽火山地質図 解説地質図鳥瞰図
2:周辺の地質概要と御嶽火山の地形及び火山噴出物以外の第四系

2. 1 周辺の地質と基盤
 御嶽火山は,白馬大池火山を北端として,飛騨山脈(北アルプス)の中軸に沿って南北に並ぶ,乗鞍火山列ともよばれる火山列の南端に位置する(及川,2003).隣接する御嶽火山と同時期に活動した火山は,北側に活火山である乗鞍火山(中野ほか,1995)や焼岳火山(及川,2002),南西側に約0.12 Maに活動した湯ヶ峰流紋岩(Matsumoto et al., 1989)が位置する( 第1図).

 この火山の基盤は,西側は白亜紀~古第三紀の濃飛流紋岩類,東側は美濃帯ジュラ紀付加体堆積物とそれに貫入する白川花崗斑岩などの貫入岩からなる(山田・小林,1988;竹内ほか,1998).これらの上位には,御嶽火山に先行する火山の噴出物が主に尾根上に分布し,それらは,2.8~0.93 Maに活動した上野玄武岩や3.5~1.6 Maに活動した安山岩及びデイサイトの地蔵峠火山岩類などである(中野ほか,2000).


2. 2 御嶽火山の地形
 御嶽火山は,標高1,200~1,500 m前後の定高性を持つ尾根からなる高原状の山地の上に成長した火山である.そのため,火山体の最高点の標高は3,000 m を超えるが,火山体そのものの比高は2,000 m程度と推定される.山頂部には一ノ池,二ノ池,三(さん)ノ池,四(よん)ノ池,五ノ池と名付けられた顕著な火口地形が存在し,そのほか,地獄谷源頭部や二ノ池周辺には小さな火口地形も認められる.また,北から南に,継子岳,摩利支天山,剣ヶ峰,継母岳,王滝(おうたき)頂上などの標高2,800 m を超える峰々が連なる広い山頂部を持ち,それらの山頂部から山麓にかけて四方にすそ野を引く新期火山体の斜面が存在する.さらに新期火山体が作る斜面の外側には,古期火山体が存在し,それら溶岩が作る高原状の台地が広がる.本地質図外にあたる山麓には,古期火山体と基盤を刻む河川沿いに,山頂から10 kmを超える距離を流れた新期の安山岩溶岩が作る台地が谷沿いに存在する.


2. 3 火山噴出物以外の後期更新世・完新世堆積物
 本地質図では,火山扇状地堆積物,段丘堆積物,崖錐及び山地斜面堆積物,火口内堆積物,現河床堆積物に区分した.火山扇状地堆積物は火山体の成長に伴って主に火山噴出物の再堆積物が山麓に扇状地状の地形をなして堆積したもので,山田・小林(1988)の滝越層,木村(1993)の木曽谷層,西野層を含む.その他,段丘堆積物は段丘地形を形成する堆積物で,複数の高さの段丘面を構成しているものを一括している.崖錐及び山地斜面堆積物は,周囲の地質体の再堆積物によって作られた緩斜面を作る堆積物である.火口内堆積物と現河床堆積物は,それぞれ火口底と河床及びその周辺を充填する堆積物である.


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