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第四紀火山>活火山>御嶽
御嶽火山地質図 解説地質図鳥瞰図
5:化学組成 - 6:噴気活動・温泉

5:化学組成

 御嶽火山を構成する岩石は玄武岩から流紋岩までの幅広い組成を示し( 第2表 第6図),古期は約51〜65 %の玄武岩からデイサイト(テフラにのみ流紋岩質のものがある),新期は約52〜74 %の玄武岩質安山岩から流紋岩の組成を示す.アルカリ元素に富み,高カリウム系列に属するが,古期の方がよりアルカリ元素に富む傾向が認められる( 第6図).FeO*/MgO vs SiO2図上では,新期・古期ともソレアイト系列とカルクアルカリ系列の両方の領域にまたがり,古期はソレアイトに,新期はカルクアルカリの領域にプロットされるものが多い( 第6図).さらに新期に注目すると,第1期はデイサイト・流紋岩,第2期は玄武岩質安山岩〜デイサイト,第3期は玄武岩質安山岩・安山岩,第4期は安山岩,第5期は玄武岩質安山岩・安山岩組成の噴出物からなる.時代が新しくなるにつれて噴出物はやや苦鉄質になる傾向があるが,マグマ噴出率は下がっている( 第3図).


6:噴気活動・温泉

 噴火の記録が残されてない18世紀の江戸時代以降から,地獄谷の源頭部での噴気活動が知られていたが,1979年の噴火以降にも噴気活動が継続し,1979年噴火によって地獄谷外でも噴気孔が活動するようになった(及川,2008).その後,2014年噴火によって一ノ池の西側山腹にも火口が開き複数の噴気孔が形成されたが,2019年頃にはそこの噴気活動も収まった.また現在噴気孔はないが,剣ヶ峰東の南俣川源頭部の標高2,800 m付近や草木谷支流の標高2,200 m付近には比較的新しい硫気孔の痕跡が残る.

 火山体内から湧出する温泉は少なく,現在も自然湧出する火山性の温泉は北西側の標高1,800 m付近にある濁河温泉と東側の標高2,000 m付近にある湯川温泉のみである.濁河温泉は源泉温度48.3 ℃ pH6.7のカルシウム・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉で,湯川温泉は源泉温度28.9 ℃,pH5.0の硫黄泉で,近くの中の湯の源泉でもあった.


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