伊豆大島火山地質図 解説目次
1:はじめに - 伊豆大島の地形
2:伊豆大島火山の地質
3:伊豆大島火山の岩石
4:カルデラ形成以降の伊豆大島火山活動史
5:19世紀以降の活動
6:観測体制 - 防災上の注意点
7:文献(火山地質図での引用)
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1:はじめに - 伊豆大島の地形
はじめに
伊豆大島火山は東京の南南西約100km,伊豆半島の東方海上に浮かぶ活火山である.過去,数多くの噴火記録が残されており,火山災害もくり返されてきた.1986年11月の割れ目噴火では前例を見ない全島民避難という事態にも至った.その一方で山頂火口の火映現象は古くから「御神火」と呼ばれ,歌にも唄われるなど,伊豆大島の火山現象は多くの観光客が訪れる観光の目玉でもある.
この火山地質図は,これまでに公表されている研究成果と筆者の野外ならびに室内研究の成果をまとめて示したものである.特に1986年噴火の推移に関しては,阪口ほか(1987)による所が大きい.この火山の将来の研究や火山防災,学校教育,観光などに利用されることがあれば幸いである.
伊豆大島の地形
伊豆大島は伊豆諸島からマリアナ諸島へ連なる火山島のうち,最も北に位置する火山島である.島内最高点である三原山山頂の標高は764mであるが,海底部分まで含めると1,000m程度の高さになる.島の形は北北西-南南東方向に,伸びた形をしており,長径約15km,短径約9kmである.島の北部から東部,ならびに南西部には高さ最大350m(東部)に達する海食崖が発達している.山頂部には径4kmほどのカルデラがある.カルデラの西半分はカルデラ壁が明瞭であるが,東半分は後の噴出物に埋められてはっきりしない.カルデラ内南部には中央火口丘三原山があり,山頂火口径は約800m,さらにその中央には径約300mの竪坑状火孔がある.
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