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第四紀火山>活火山>蔵王
蔵王火山地質図 解説地質図鳥瞰図
3:蔵王火山の地形

 蔵王火山には,起伏の少ないなだらかな地形からなる部分が多く認められ,それらは溶岩流の表面地形と判断される.約 25 万年前以降の溶岩.火砕岩には,不明瞭ながら溶岩流の末端崖と判断できる急崖や傾斜の変急線や,火山原面と考えられる平滑な地形面が保存されている部分が多い.しかし,標高が高く後期更新世から完新世の溶岩の分布がわずかなためか,全体的に新鮮な火山地形に乏しい.一方で,崩壊地形は多数認められ,特に山体の縁辺部分に多い.それらの多くは地すべり地形であるが,その開口方向には,流れ山地形や岩屑なだれ堆積物が認められる場合もある.地質図には地すべり・崩壊堆積物の給源と考えられる崩壊壁を示している.特に北蔵王火山の瀧山火山を主な起源とする約 7 万年前の崩壊堆積物である須川泥流(八木ほか, 2005)は規模が大きく,蔵王温泉からその西側にかけて分布し流れ山地形を伴う.また,山体の中央部,熊野岳と刈田岳の間に認められる長径約 2 k m の東に開口した馬蹄形をなす崩壊・浸食壁は“馬の背カルデラ”と命名されている(酒寄, 1992).このカルデラ地形は浸食カルデラと解釈される(伴, 2013).この馬の背カルデラ内には,明瞭な火口地形を有する御釜と呼ばれる火口湖がある.御釜は,火砕丘である五色岳の西部を一部覆いながら形成された火砕丘の火口湖である.御釜の西方,馬の背付近には,北北西〜南南東に延び東落ちの正断層が地形的に認められる(大場・今田, 1989).


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