火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)


Special-type earthquake

左:Uchida and Sakai (2002)の Special-typeの地震の波形及びスペクトル.

右:Ohminato and Ereditato (1997) の「短周期火山性地震」(short-period volcanic earthquake).上下動,水平動(南北),水平動(東西)の各成分の波形(上),エネルギー関数(中),polarization vector(下).矢印が"slow emergent onset".

Uchida and Sakai (2002) によって,Special-typeは,Emergent phase という不明瞭な初動の相(5-8sec,振幅が漸増していく,5Hz卓越)とMain phase(振幅が急に大きくなる,4Hzと7Hz の2つのピークを持つ,10Hz以上の高周波成分少ない,で定義されています.Particle motionの解析山頂火口領域に震源を持つと考えられています.

Ohminato and Ereditato (1997)は,1997年4月の臨時観測において記録した「短周期火山性地震」(short-period volcanic earthquake)には,高周波の地震動(卓越周波数2~7Hz)の前に不明瞭な初動の相(右図の矢印:"slow emergent onset")があること,相似性が高い波形が多いことを指摘しています.これらの地震は,その特徴から気象庁の分類のSpecial-typeと同じタイプに分類される地震の可能性があります.

なお,右図 下の polarization vectorは,上から水平面,南北方向の垂直面,東西方向の垂直面の各々の平面内における地震動の卓越成分の時間変化を示したもので,この波形を記録した山頂火口に近いST1観測点においては,水平動が卓越していることがわかります.

Uchida and Sakai (2002)のFig.7とOhminato and Ereditato (1997)のFig.3を引用.

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