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第四紀火山>活火山>三宅島
三宅島火山地質図 解説地質図鳥瞰図
6:将来の活動と災害の予測 - 7:火山監視・観測体制

6:将来の活動と災害の予測

 2004年10月時点では,三宅島の白色噴煙,火山ガスの放出量とも2000年に比べ減ってはいるものの,二酸化硫黄の放出量はなお1日あたり3,000~10,000トンと高レベルにある( 第10図)卓越風の風下側にあたり高濃度の火山ガスが通過する三池地区など東山麓や南西山腹,地形的に低く火山ガスが滞留しやすい桑木平カルデラの内側は,植生の枯死・変色や構造物の腐食が著しい.泥流の発生に備えて砂防ダムの建設や流路の改修及び都道,村道の対策工事が進められているが,警戒を要する.

 最近500年間の噴火では,顕著な火山性地震がはじまってから数時間以内に山腹割れ目噴火が始まり,スコリアと流動性の高い溶岩を噴出した例が多く,直前まで噴火開始地点を特定することは難しかった.海岸付近では爆発的なマグマ水蒸気噴火が起こることもあった.噴火の終息は数時間から1日程度以内と比較的早いことが多いが,山頂噴火を伴う場合は1ヶ月から数年間に長びく場合がある.

 ただし,今回の陥没によって,ここでまとめたような噴火様式が一変してしまう可能性も高い.中・長期的な予測をする際には,山腹割れ目噴火のほか山頂噴火も含めてさまざまな可能性を考慮する必要がある.また,カルデラに湖が形成されれば,マグマ水蒸気噴火やカルデラ縁の決壊による泥流の発生要因にもなるので,注意深く見守っていかなくてはいけない.


7:火山監視・観測体制

 前駆的な地震が開始して短時間で噴火に至った多くの事例を重視すると,的確な避難,防災態勢構築のためには,高感度・高精度の観測により異変をリアルタイムで捕らえ,噴火予測地点を絞り込むことが不可欠である.

 気象庁は三宅島に測候所をおき,地震計13点,震度計3点,GPS観測点14点,空振[くうしん]計4点のほか,遠望カメラを島内3ヶ所と新島,御蔵島に設置して,火山活動,噴煙の状況を監視している.防災科学技術研究所は傾斜計5点,国土地理院ではGPS観測点8点,東京大学地震研究所は東京都と共同で地震,GPS,重力,電気・磁気の観測点を設置してそれぞれ観測を行なっている.

 2004年現在,警視庁,東京消防庁,海上保安庁,陸上・海上・航空自衛隊の協力のもとに,気象庁,産総研,大学の研究者が定期的にヘリコプターから活動を監視するとともに二酸化硫黄放出量をCOSPECにより測定している( 第10図).


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