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浅間火山地質図 解説地質図鳥瞰図
1:はじめに - 浅間火山周辺の地質と岩石

はじめに

 浅間山は長野県と群馬県の境にある活火山である.浅間火山は日本の代表的な火山の一つで,北海道西南部から東北地方を縦断し,榛名山にいたる火山帯(那須火山帯)と,伊豆諸島から北上して富士山・八ヶ岳へ伸びる火山帯(富士火山帯)との接合点に位置している.火山全体の体積は約56 km3あり,主として輝石安山岩質の成層火山,楯状火山,溶岩円頂丘等の集合体から成っているが,このような特徴は日本の第四紀火山として,きわめて平均的なものである.浅間火山はまた,世界的によく知られた活火山の一つであり,現在でも数年から10年に一回の割合で噴火しつつある.


浅間火山周辺の地質と岩石

 浅間火山は,いわゆるフォッサ・マグナの東の縁付近に位置する.この地域は日本列島の新第三紀火山活動が活発に行われた地帯の一部であり,浅間火山の地下には,あまり深くない所に,中新世−鮮新世の火山物質に富む厚い地層があると考えられる.

 この地域では,おそらく中新世前期に海進が始まり,砕屑岩類と共に多量の火山性物質が堆積した.鮮新世に入ると,この地域は徐々に陸化し,湖成層を含めた陸成層の堆積が主となってくる.同時に火山活動が盛んになり,その大きな中心は現在の烏帽子火山西部から佐久盆地東方山地を経て,妙義・霧積地域にかけてであった.第四紀に入って,鳥帽子・浅間・高度山・鼻曲・草津白根・四阿・志賀をはじめ多くの火山が生じた.

霧積層群(Kz)
碓氷川・霧積川流域に広がる,主として火砕岩と溶岩流から成る厚い地層を霧積層群と呼ぶ.大部分は凝灰岩・凝灰角礫岩・溶岩流等から成る.安山岩質岩石が最も多いが,デイサイト質のものもある.軽井沢北方,中軽井沢の北,湯川の谷に沿って露出する霧積層群は最上部層に相当すると思われ,陸上堆積物かも知れない.

志賀層群(Sg)と妙義火山(My)
志賀層群は南軽井沢の東及び南側の低い山稜を構成している.霧積層群と類似の岩石からなり,ほぼ同時代と考えられる.妙義火山の噴出中心は浅間火山から25km南東にへだたっているが,その西端が矢が崎山等を形成している.噴出物の大部分は,輝石安山岩の凝灰角礫岩と溶岩流から成り,逆転帯磁を示す.

森泉山と平尾富士の安山岩類(Mh)と志賀溶結凝灰岩(Sw)
南軽井沢西方から岩村田(浅間町)へかけて浅間火山噴出物の南限は志賀溶結凝灰岩(角閃石輝石デイサイト),および同質の火山角礫岩,凝灰角礫岩等の山地で限られている.志賀溶結凝灰岩は層厚200m以上に達し,石材として溶結部が稼行されている.森泉山と平尾富士の山塊は輝石安山岩質の火砕岩と溶岩から成る.

小諸層群(Ko)
小諸市周辺の千曲川岸・繰矢川の峡谷・東沢地域等に露出する鮮新世の地層.礫岩・砂岩・泥岩・凝灰角礫岩・凝灰岩等の互層から成り,数枚の溶結凝灰岩を含む.

門貝層群(Kd)
浅間火山北麓の門貝・大前付近に分布する砂岩・礫岩を主とする互層からなる地層を呼ぶ.

王城凝灰角礫岩(Oj)およびその他の火山岩類(Vr)
吾妻川峡谷の羽根尾-長野原間,および熊川下流に発達する粗粒の安山岩質凝灰角礫岩で,層厚500mに達する.熱水変質作用は軽度である.


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