青ヶ島火山 および 伊豆諸島南方海底火山
地質図 解説目次
1:はじめに - 青ヶ島火山
2:青ヶ島火山の地質と活動史 - 天明以前の火山活動
- 1781-1785天明の噴火
3:岩石
4:地下構造探査 - 火山活動の監視・観測
- 将来の活動と災害の予測
5:島弧上の海底カルデラを伴う火山
6:背弧リフト内の火山
- 海底火山活動の監視・観測・将来の活動と災害予測
7:文献(火山地質図での引用)
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1:はじめに - 青ヶ島火山
はじめに
本調査地域では,太平洋プレートが東側から約60°の急角度でフィリピン海プレートの下に沈み込んでいる.このフィリピン海プレートの上には,南北に全長約1200kmにわたって続く伊豆・小笠原火山弧が発達している( 第1図).伊豆・小笠原火山弧ではHotta(1970)によれば厚さ約15kmの島弧地殻が発達している.七島-硫黄島海嶺は伊豆・小笠原弧の島弧主部に相当し,活動的な火山島あるいは火山礁がほほ南北に連なる.本海底地質図の範囲内にも,北から八丈島,青ヶ島,明神礁,須美寿島および鳥島等の火山島あるいは火山礁が分布する.また,本海域において特徴的なのは,火山フロント上のすべての火山がカルデラ地形を伴っているということである.一方,島弧の西側いわゆる背弧域には東西あるいはそのどちらかを正断層によって区切られた,南北に細長い背弧リフトが形成されている(Taylor et al., 1984).リフト内には,円錐状あるいは細長い山体をもつ規模の小さな火山が見られる.
この火山地質図は,島弧上の青ヶ島火山および海底カルデラを伴う火山と背弧リフト内の火山についてのこれまでの研究に,筆者らが行った研究成果を加えてまとめたもので,青ヶ島および伊豆諸島南方海域の研究や噴火災害・地域開発などに利用されることがあれば幸いである.
青ヶ島火山
青ヶ島火山は,北北西-南南東に長く,水深700mを基盤の深度と考えると基底径約15km×8km,比高約1,100m以上,総体積30km3以上の火山体からなる.このうち,海面上に現れている青ヶ島火山(青ヶ島)は,北北西-南南東にのびた長径約3.5km,短径約2.5kmの楕円形をし,推定総体積3km3にすぎない.島の南半部は,中央火口丘(丸山)をもつ径1.7km×l.5kmの大きな火口(池の沢火口)(標高約100m)で占められ,標高約150-420mの外輪山でとり囲まれている.島の最高点は,外輪山の北東部に位置する大凸部(おおとんぶ)で423mである.島の北半部は,北北西に向かって傾いた緩斜面(標高250-300m)で覆われ,集落がある.島は海食崖でとり囲まれているので,火山体の構造すなわち成層火山の断面がよく露出している.
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