薩摩硫黄島における地震観測の履歴

火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)

薩摩硫黄島火山における地震観測の履歴

近年の薩摩硫黄島火山における自然地震観測を時系列的にまとめてあります.実施機関は,通産省(但し,実際はSVO),気象庁(以下JMA),京大防災研(以下SVO),産総研(旧・地質調査所,以下GSJ),です.

  • 1975.10~1978. 3 地熱調査の一環 (加茂, 1976,1977,1978)
通産省「火山発電方式に関するフィジビリティ・スタディ」
  • 1988. 2 ~  SVO 定常観測 1点
  • 1993.10 GSJ 臨時観測 2点 (初めての山頂部での観測)
  • 1995. 6 ~  SVO定常観測再開:IWO1点
  • 1996. 6. 8 M2.9 有感地震
  • 1997. 4 GSJ臨時観測 (Ohminato and Ereditato,1997;初めての広帯域観測)
  • 1997. 9 ~  JMA連続観測
  • 1997. 9~1998. 1 JMA 臨時観測4点
  • 1998. 5~1999. 2 JMA 臨時観測4点
  • 1998. 7 SVO臨時観測
  • 1998.11~ GSJ ID560連続観測(当初はケーブル伝送して展望台で収録)
1999.11 現地収録 2000.11 上下動無線テレメ化 2002.11 3成分無線テレメ化
  • 1999.11 GSJ+SVO硫黄岳共同集中観測
  • 2000.10~2001. 8 GSJ+SVO 硫黄島+竹島臨時観測:遠地地震減衰
  • 2001. 7 竪穴状火孔急拡大, 空振出現
  • 2001.11 GSJ+SVO火口脇[F2近傍]にて空振観測
  • 2002.11 GSJ+SVO 火口近傍 ノイズ調査


薩摩硫黄島火山における地震観測は,1975年10月~1978年3月に,通産省「火山発電方式に関するフィジビリティ・スタディ」の一環として実施された,3観測点による臨時観測に始まります(加茂, 1976;1977;1978).

この調査の後,京大防災研による1観測点の定常観測が1988年2月より開始され,一時中断の後,1995年6月より定常観測点IWO1点によるモニタリングが継続しています.また,観測点を追加した臨時観測を1998年7月等何回か実施してきました(井口ほか,1999; Iguchi et al., 2002).

気象庁による地震観測は,1997年9月より連続観測点1点が設置され,1997年9月~1998年1月,1998年5月~1999年2月などに3点程度の臨時点を加えた臨時観測も実施されています(Uchida and Sakai, 2002).

産総研による地震観測は,旧・地質調査所時代の1993年10月のSherburn and Nishiによる初の山頂部での観測に始まり,1997年4月の広帯域地震計4台と速度型地震計5台を用いた臨時観測(Ohminato and Ereditato, 1997),1998年11月からのID560における長期モニタリング等,主に山頂部における臨時観測を実施しています.

1999年からは産総研と京大防災研の共同研究として,硫黄岳共同集中観測(1999年11月;Iguchi et al., 2002),硫黄島と竹島に臨時観測点を設置して鬼界カルデラに到達する遠地地震の観測,2001年7月の竪穴状火孔急拡大・空振出現に対応しての火口脇における空振観測(2001年11月),火口近傍におけるノイズ調査(2002年11月)等を実施してきました.

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