秋田駒ヶ岳火山
注)本データ集では,暦年較正していない14C年代を用いて地質層序・噴火史の解説を行っております.そのため,暦年代スケールを用いている「1万年噴火イベントデータ集」とは年代値が異なっている場合があります.ご承知おきください.
秋田駒ヶ岳火山は,東北日本弧火山フロントの西方約30km,秋田・岩手県境の東経140°48′北緯39°45′付近にあるBランクの活火山です.仙岩地熱地帯の中南部地域に位置する本火山は,乳頭・笊森・湯の森・笹森各火山と並んで北東-南西方向の(乳頭-秋田駒ヶ岳)火山列を形成し,その南端を占めています.
秋田駒ヶ岳火山の地形に着目すると,山体中南部にある北東-南西に伸張したカルデラ(長径3km,短径1.5km)が特徴的で,カルデラ壁は特に北部で高く,男岳と呼ばれるやせ尾根を形成しています.カルデラ内には女岳,小岳,南岳の中央火口丘が存在します.男岳の北側には,かつて存在した馬蹄型凹地を埋めるように,片倉岳,男女岳等,複数の火砕丘もあり,表面微地形の新鮮な溶岩ローブも認められます.北側の火砕丘群は,新たな馬蹄型の凹地形により,いずれも部分的に欠損しています.
本火山は,乳頭-秋田駒ヶ岳火山列の中では最も新しい火山です.笊森火山および乳頭火山の形成時期は,各々約56万年前(梅田ほか,1999), 36-63万年前(高岡ほか,1988;須藤ほか,1990)とされ,本火山の活動開始は約10万年前頃と推定されます.火山形成史は3分でき,活動順に主成層火山形成期,カルデラ形成期,後カルデラ活動期と呼ばれています(須藤・石井,1987).
噴出したマグマは,活動を通じてほとんどがソレアイト質玄武岩ないし安山岩マグマで,ごくわずかにカルクアルカリ安山岩マグマも見られます.
なお,主成層火山形成期の地質区分,層序については,現在も調査検討中ですので,修正・変更がなされることもありますので,ご承知おきください.また,この部分の内容につきましては,以下の卒業生の方々による茨城大学卒業論文(未公表)を参考にさせていただきました.ここににお礼を申し上げます.平成 10年度卒業生飯田強氏,平成12年度卒業生櫻田雅美氏,平成14年度卒業生木村敬介氏.
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