20万分の1日本シームレス地質図とは

産業技術総合研究所 地質調査総合センターは,紙で出版している「20万分の1地質図幅」を基として,日本全国の地質分布を閲覧できるWeb地質図「20万分の1日本シームレス地質図」を2005年に作成・公開しました.2017年には,最新知見も含めより詳細な地質情報を反映させた改訂版(V2版)を公開しました.

印刷物である20万分の1地質図幅では,当時の地球科学観(例えば,地向斜かプレートテクトニクスか)や作成者の違いなどによって,隣り合う図幅で地質境界線(分布)や断層・褶曲構造がつながらなかったり,凡例(色や岩石名)が異なったりすることがしばしばあります.地質図を地球科学情報の基図としてより広く利用してもらうためには,日本全体を統一した凡例でまとめ,そしてつなぎ目を一致(連続)させることが必要でした(図1).このような背景からシームレス地質図は誕生しました.20万分の1日本シームレス地質図は,ユーザーにとってより見やすい機能の追加,地理情報システム(GIS)で利用できるデータの提供,最新知見の即時反映などWeb地質図ならではの利点を生かし,常に進化を続けています.

図1.4区画分の紙版の地質図幅をシームレス化した例(北海道中南部)

現在公開している20分の1日本シームレス地質図V2は,初版の凡例数が200弱であったのに対し,2400以上と大幅に増えました.つまり,表示される地質情報がより多く,また,細かくなりました.その他,一般の方にも分かりやすい凡例表示(用語の簡易説明:図2),絞り込み検索表示,3D表示など様々な機能を備えています.また,スマートフォンやタブレットPCでも利用でき,GPS機能を使用すれば足元の地質が瞬時に分かります(図3).

図2.地図の中心点を地質体に合わせるとその情報がウィンドウ表示されます
専門用語もクリックすれば説明がポップアップされます.
図3.スマートフォンやタブレットPCで閲覧できるので,野外でも活躍します

今後も広く利活用頂けるよう,随時,データの更新,表示機能の追加・改善,各種データ提供を行っていきます.

  • (注1)20万分の1日本シームレス地質図は画面上で一定程度拡大できますが,位置や分布精度については元となる20万分の1地質図以上にならないことをご留意ください.
  • (注2)20万分の1地質図幅を基に編集しているため,すべてにおいて必ずしも最新の研究成果が反映されているとは限りません.
  • (注3)本地質図は、当研究所の成果のみならず,これまで日本の地質学に携わってきた多くの研究者による成果を利用しています.