火山研究解説集:有珠火山 by 産業技術総合研究所・地質調査総合センター
火山活動による地下水・温泉の変化のイメージ図
火山活動によって地下水や温泉に変化が生じる場合,その原因は主に以下の4つが考えられます.
(a)マグマの上昇・移動による地殻変動
(b)火山性の地震の震動による帯水層のかく乱
(c)マグマ起源の熱水・火山ガスの帯水層への混入
(d)帯水層に影響を与える新たな熱源の出現
(a)マグマの上昇によって地面の隆起などの地殻変動が起きることがあります.この時,地殻変動が生じた地域では地殻歪にも変化が生じていると考えられ,これによって間隙水圧が変化し,地下水や温泉に変化が現れることがあります.予想される変化は,水位の上昇や低下です.水位変化の方向(上昇するか,低下するか)は,地殻歪との関係によって推定することができます.縮みの地殻歪なら水位の上昇,伸びの地殻歪なら水位の低下が予想されます.
(b)地震の震動によって帯水層がかく乱された場合,液状化現象などが起こる可能性があります.予想される変化は,水位の急な上昇や地下水・温泉の湧き出しなどです.
(c)マグマが上昇していなくても,熱水や火山ガスが地面の割れ目を伝って上昇する場合があります.もしそのような熱水や火山ガスが地下水や温泉の帯水層に混入すると,地下水や温泉の成分そのものが変化する可能性があります.予想される変化は,温度の変化や化学組成の変化です.混入した熱水が高い圧力を持っていたり,加えられたガスが地下水や温泉に浮力を与えた場合は,地下水や温泉の自噴が生じることもあります.
(d)帯水層の地下水に新たな熱源が出現した場合,地下水や温泉水の温度の上昇が予想されます.
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