火山研究解説集:有珠火山 by 産業技術総合研究所・地質調査総合センター

洞爺湖温泉における観測結果

このグラフは,1997年10月から2000年7月までの洞爺湖温泉の2本の温泉井戸の水位記録です.北海道立地質研究所によって観測されたものです(Shibata and Akita, 2001).

赤いグラフがT10井(深さ115m),青いグラフがGSH-1井(深さ1200m)の水位を示しています.「補正後の水」と表示されているのは,このグラフが生データをプロットしたものではなく,生データから湖水位や地球潮汐の影響を取り除いたデータをプロットしたものであることを示しています.

T10井の水位(赤いグラフ)は,1999年10月ごろから下がり始め,2000年2月ごろからその低下速度が増しています.2000年3月27日から2000年の活動が始まると,3月29日に水位はさらに低下し,噴火まで水位は下がり続けました.2000年の活動時の水位低下量は約2mです.

GSH-1井の水位(青いグラフ)は,2000年1月ごろから下がり始めています.2000年の活動が始まると,3月27日から急激に水位が下がり始めて3月28日朝に水位計の測定外となってしまいました.その間の水位低下量は5mに達しています.そしてその後,4月3日に水位は突然上昇し,温泉が地上30mほどの高さまで吹き上がりました.青いグラフが表示範囲を超えて上昇しているのはこのためです.

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