火山研究解説集:有珠火山 by 産業技術総合研究所・地質調査総合センター

有珠火山の地下にある2つのマグマ溜まりと,2000年噴火における様々な地球物理学的観測結果.Tomiya et al. (2010) を改変.

実験岩石学的な推定によると,深さ約10kmに深部マグマ溜まり,深さ約5kmに浅部マグマ溜まりが存在する. 2000年噴火では,GPSによる地殻変動観測から深さ約10kmに膨張・収縮源が推定されており(村上ほか,2001),これが深部マグマ溜まりに相当すると考えられる. また,広帯域地震計の観測からは深さ約5〜6kmに周期12秒という低周波微動(膨張・収縮)の発生源が推定されており(図中の☆印;Yamamoto et al., 2002),これが浅部マグマ溜まりに相当すると考えられる.

黒点は前兆地震の震源(Onizawa et al., 2007),ピンク色の丸や黄色い四角はマグマが地盤を膨らませた場所(地殻変動からの推定; Mori and Ui, 2000; 岡崎ほか,2002).これらは,マグマ溜まりから地殻中を上昇してきたマグマが,地盤を割ったり(地震),変形させたり(地殻変動)しながら,地表に近づいていったことを見ていると考えられる.

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