| 活動の概要(概要) |
岩手火山では1998年3月以降火山性地震の急激な活性化とともに地殻変動が観測され,噴火活動の開始が危ぶまれたが,岩手山西部地域での地熱活動の活発化だけで2003年には沈静化に至った. 岩手火山に対する高感度地震観測は1981年からであるが,1995年9月に観測された継続時間45分におよぶ火山性地震を契機として,1997年12月までは,活動頻度は低いながらも火山性地震の震源位置が,東岩手山頂直下から西岩手カルデラ及びその西部への移動が観測されており,これが1998年から始まった活動の前駆現象と考えられている(浜口,2005). 1998年2月中旬頃からは,岩手火山南西山腹で微小地震の回数が増え始めるとともに,黒倉山-姥倉山を中心として地殻変動が観測され始めた.1998年3月なると岩手火山の東側で地下30km付近のモホ面付近での地震の発生頻度が高まるのに随伴して南西山腹下10km深未満の地震活動が著しく増加した.震源域は徐々に西方に拡大し,6月下旬には三ッ石山付近(岩手火山地質図外)にまで到達し,東南東-西南西方向約13kmの範囲内で活発な地震活動が起こった. 1998年9月3日には、葛根田川上流(岩手火山地質図外)を震源として岩手県内陸北部地震(M6.2)が発生し,雫石町北部で震度6弱が記録された。この地震は、雫石町篠崎地区(岩手火山地質図外)に、地震断層を出現させた(越谷ほか,1998). この後,地震発生域は次第に縮小し,日別地震回数も漸減した.地殻変動については,南北方向への伸張が(1999年1月以降は新潮速度は減少しながらも)2002年まで継続したが,2003年以降は逆に縮小する傾向に転じた. 一方,1999年2-3月頃から,大地獄谷〜黒倉山・姥倉山周辺を中心として,地熱活動が活発化を始め,火山体斜面で笹枯れなどが顕著に認められるようになった.1999年5月以降には植生の破壊地域は特に拡大し.大地獄谷では噴出ガス温度の上昇や硫黄塔の形成や硫黄の飛散が認められるようになった.また、黒倉山から姥倉山に至る稜線地域では、東西走向をもつ断層列に沿って噴気活動が活発化し、稜線沿いや山腹から立ち上る蒸気が山麓から目視されるようになった.このような地熱活動域の拡大も2000年3月以降は鈍化し,2003年以降は噴気活動も低下傾向に転じるようになった。 |
図1.岩手火山における1995年以降の火山活動の推移のまとめ
(土井,2005)より引用
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![]() 図2.岩手火山における火山性地震の日別地震回数の変化
仙台管区気象台(2005)より引用
1998年年頭から6月にかけて,地震活動が急激に活性化したが,2000年以は降低調な状態で推移した. |
![]() 図3.黒倉山の噴気高度の変化 仙台管区気象台(2005)より引用
黒倉山噴気は2004年後半からは低調な状態になったことがわかる.
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