以下は地下構造可視化システムの描画結果のご利用上の注意です.それ以外のコンテンツをご利用の際は, 活断層データベースに関するご利用上の注意をご一読下さい.
- S波速度の異方性
- S波の振動方向 (伝播方向に直交) により伝播速度が異なることをS波速度の異方性と言います.地殻内で起こった地震の波形記録を用いてS波速度の異方性を解析すると地殻応力方位が分ることがあり, 本システムではそのような観点からS波速度の異方性の解析結果と地殻応力測定の結果を併せて表示できるようにしています.
- 地殻応力/地殻応力測定/応力方位
- 地殻にかかる応力を地殻応力と呼びます.ボーリングによる原位置測定あるいは試料を用いた室内実験で地殻応力を測ることを応力測定と呼びます.応力は 直交する3主軸の向きと大きさで表現されますので, 地殻応力の方位といえば, 通常は最大あるいは最小主軸の向きを指します.さらに限定的に, 最大あるいは最小主軸を水平面に投影した最大水平 (圧縮) 主軸や最小水平 (圧縮) 主軸の方位角 (東西南北のこと) を応力方位と呼ぶ場合も多いです.本システムでは最後の用法を採用しています.
- 活断層
- 地質学的時間の中で最近 (概ね第四紀以降) 活動し, 現在も活動を継続中の断層を活断層と呼びます.
- コンラッド/モホ
- コンラッドは地殻の上部と下部を分ける不連続面のことで, モホは下部地殻とマントルとを分ける不連続面のことです.日本列島の陸域ではそれぞれ概ね15km, 30km程度の深さに分布しています.
- 地震発生層/D10, D90 (でぃーじゅー, でぃーきゅーじゅー)
- 地殻内で地震が発生する深さは一般にある特定の深さ範囲に限定されていて, その深さ範囲を地震発生層と呼びます.地震発生層の上限および下限を表す1つの目安として, D10, D90と呼ばれる量があります.それぞれ, 地殻内で起こる総地震数の10%, 90% (地表から深部に向かう方向における累積地震数) が入る深さとして定義されます.
- 重力異常
- 重力の理論値と観測値との差を重力異常と呼びます.理論値とは, 具体的には, 地球楕円体を用いて計算される標準重力に対して地形の起伏の影響を補正した値を指します.観測点と地球楕円体の間には何も存在しない (=フリーエア) と考えて補正した時の重力異常をフリーエア異常と呼びます.観測点と地球楕円体の間に密度一定の岩石が存在すると仮定して補正した場合はブーゲー異常と呼びます.本システムでは仮定密度2.6g/cm3のブーゲー異常を描画します.
- 太平洋プレート/フィリピン海プレート
- プレートテクトニクスという考え方によれば, 地球は厚さ数10から100km程度の10数枚の岩盤 (リソスフェア) で覆われていて, これらが動きひしめきあっています.この岩盤の一枚一枚をプレート, そして海洋部および大陸部にあたるプレートをそれぞれ海洋プレート, 大陸プレートと呼びます.太平洋プレートとは太平洋の下に広がる広大な海洋プレートのことであり, フィリピン海プレートは太平洋プレートよりもひとまわり小さく, 太平洋プレートの西端に隣接する海洋プレートのことです.日本列島下にはこれら2つの海洋プレートが沈み込んでいると考えられています.
- 第四紀火山>
- 第四紀に活動した火山を第四紀火山と呼びます.
- 地殻/マントル
- 地球の内部構造を表す言葉です.地球の最も外側を地殻, その内側をマントルと呼びます (更に内側には, 外核および内核と呼ばれる構造があります) .日本の陸域では地殻は30km程度の厚さを持ち, 深さ15km程度で上部と下部に分けられます (それぞれ上部地殻, 下部地殻と呼ばれます) .マントルは一般に2900km程度の厚さを持ち, 深さ約660km程度で上部と下部に分けられます (それぞれ上部マントル, 下部マントルと呼ばれます).
- トモグラフィ/解析グリッド/conflim/dws (でぃーだぶりゅえす)
- 物体の内部構造を知りたい場合にその構造内を伝播する信号を用いてそれを解析する技術の一つです. 物理探査や医療機関で広く用いられています.地震波トモグラフィとは, 地震波を用いて地下の3次元的な物性値の分布を解析すること, あるいはその結果のことです (「はじめに」参照) .解析の際は, コンピューターで物性値の分布を解析するために, 解析対象領域を多数の小領域に分割する必要があります.本システムでは各々の小領域に対応する点を解析グリッドと呼びます.conflimは, 本システムでトモグラフィデータを描画するために定義したデータの信頼度の指標です (「データ」参照).dwsは, 分割された小領域ごとにどれだけ多くの地震波が通過しているかを表す指標です.地震波線は地下の速度構造および震源と観測点との位置関係に依存するので, 小領域の位置により地震波の通過数は異ります.多くの地震波が通過している小領域の解析結果は少ない領域の解析結果よりも相対的に信頼度が高いと言えます.
- 歪集中帯
- 長期的な地殻変動による歪が特に集中する地域です.地質学的な時間スケール (数万年〜数千万年あるいはそれ以上) で見た場合の歪集中帯を地質学的歪集中帯, 測地学的な時間スケール (数年〜100年程度) で見た場合の歪集中帯を測地学的歪集中帯と呼びます.
- Vp (Vs) (ぶいぴー, ぶいえす) /dVp (dVs) (でぃーぶいぴー, でぃーぶいえす)
- Vp, VsはそれぞれP波 (S波) 速度を表す弾性定数です.dVp (dVs) は, P波 (S波) 速度がある基準速度からどの程度はずれているかを表す尺度で, { (速度) − (基準速度) }/ (基準速度) で計算されます.一般に弾性波速度は深さとともに増加する傾向があるので, トモグラフィの鉛直断面を観察する場合は深さごとの基準値からのずれを観察したほうが分りやすい場合があります.本システムではVp (Vs) を表示するかdVp, dVsを表示するかを選択できます.
- ポアソン比
- 縦歪と横歪の比で定義される弾性定数です.Vp, Vsから公式 (ポアソン比) ={(Vp/Vs)**2-2}/[2{(Vp/Vs)**2-1}] で計算されるので, 本システムでも同式でポアソン比を計算して描画するようにしています.