| 岩手火山 |
| 概要 |
| 岩手火山は主に玄武岩-安山岩マグマによって形成された大型の成層火山体で,大規模な火山体の崩壊とその後の噴火による山体の再生を過去20万年間に少なくとも6回繰り返してきた.岩手火山は,薬師岳(標高2038m)を頂部とするほぼ円錐形の東岩手火山と,その西部で山頂部に東西約2.5km,南北1.5kmの西岩手カルデラをもつ西岩手火山に大別される.いずれの火山も,1-数万年程度の休止期を挟む複数の噴火ステージに区分される. |
![]() 東側上空から見た見た岩手火山および網張火山群 伊藤・土井(2005)より引用 |
| 岩手火山の噴火ステージ |
| 岩手火山の活動はおよそ30万年前の西岩手火山の活動から始まり成層火山体が成長した(約2万年の休止期を挟んで西岩手−鬼ヶ城ステージと西岩手−御神坂ステージに細分される).山頂部に西岩手カルデラが形成された後,中央火口丘群が形成された(西岩手−御苗代ステージ).西岩手カルデラ内では噴気・地熱活動が現在も継続している(西岩手−大地獄谷ステージ). 東岩手火山は,大規模な山体崩壊の後,崩落部を埋積し山体を形成する噴火を1-2万年程度継続し,その後休止期に入るという活動経過を最近10万年間で3回繰り返してきた(下位より東岩手−鬼又ステージ,東岩手−平笠不動ステージ,東岩手−薬師岳ステージ).西岩手火山と東岩手火山の噴火ステージは交互に発生しているが,一部では活動期間が重複する(第1図). 噴火様式は火山灰や火砕サージの噴出,溶岩流の氾溢や火砕丘の形成など多様である.また,最近7千年間の活動を見ると,東岩手火山ではマグマ噴火,西岩手火山では水蒸気爆発が発生するが,それらが一連の噴火イベントの中で連動して発生した事例も認められる. |
![]() 岩手火山の形成史 伊藤・土井(2005)を修正加筆
VP:火山噴出物,L:溶岩,PF:火砕流堆積物,PhD:水蒸気爆発堆積物,DA:岩屑なだれ堆積物,To-a:十和田aテフラ,To-H:十和田八戸テフラ,AT:姶良Tnテフラ,To-Of:十和田大不動テフラ,Aso-4:阿蘇4テフラ,Toya:洞爺テフラ,ka:1000年前.別火山灰,渋民火山灰,外山火山灰は,それぞれ古土壌を含むテフラ群の総称.
山麓のテフラと火山体構成物の対比により編まれた岩手火山の噴火史(伊藤,2002b)で,東岩手火山と西岩手火山の噴火ステージが交互に繰り返していることがわかる.
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