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阿蘇火山地質図 解説地質図鳥瞰図
3:阿蘇火山の岩石 - 温泉と地下水

阿蘇火山の岩石

 阿蘇火山産の岩石は,SiO249%の玄武岩から72%の流紋岩まで,化学組成の範囲が広い.Aso-1からAso-4にいたるカルデラ以前の岩石と後カルデラ火山の岩石とを通じ,これらの岩石は化学的に特徴のある一群をつくる.この岩石群は九重・雲仙など付近の同時代火山や,阿蘇地域のやや古い(200万-50万年前)火山の岩石に比べ,アルカリ,特にKが多く,それらと明瞭に区別できる(図4を拡大する 第4図).Aso-1からAso-4までの火砕噴火の時期の岩石はSiO2の多い珪長質岩石が最も多量で,安山岩がこれに次ぎ,後カルデラ火山の岩石では玄武岩質安山岩が最も量が多く,次に産出頻度が高いのはデイサイトである.代表的岩石の化学組成を 第2表に示す.

 鉱物組成では,すべての岩石を通じて斑晶珪長質鉱物は斜長石1種である.斑晶Fe-Mg珪酸塩鉱物では,大部分の岩石は単斜・斜方両輝石±かんらん石であり,苦鉄質の岩石では斜方輝石が減って,かんらん石が増加する.角閃石はカルデラ前の岩石ではAso-4火砕流のみ,中央火口丘では本塚火山のみに,また黒雲母は火山研究所溶岩のみに含まれる.このことも九重・雲仙火山などの岩石が多量の角閃石斑晶と,しばしば黒雲母斑晶を含むことと対照的である.


温泉と地下水

 温泉はカルデラ内の西・北部にある.中央火口丘西側山腹の湯の谷・垂玉・地獄は,高温の噴気に伴う単純(硫黄)泉である.白川峡谷底の栃ノ木,カルデラ底北西部の内牧・赤水は硫酸塩泉,北東部の手野・片隅は単純泉である.

 この地域の年間降水量は3,400mmに達する.火山体上部は透水性がよいので表流水は極めて少なく,地下に滲透して山麓部に良質・豊富な湧水として現れる.その中でも,阿蘇谷の一の宮町宮地から阿蘇町役犬原にかけての自噴帯は規模が大きく,随所に豊富な自噴井を見ることができる.宮地の阿蘇神社などこの付近が阿蘇地域の中でも古くから開発されたのは,この自噴帯のためであろう.南郷谷にも多くの湧泉があり,白水村の白川水源は1985年1月,環境庁により日本の名水百選の1つに選定された.



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