火山衛星画像データベース

全世界の活火山の
時系列衛星画像を提供します。

はじめに

火山は美しい風景を創造し温泉や金属資源等の恩恵を与える一方で,多大の火山災害を与えてきました.インドネシア,タンボラでは1815年に発生した大噴火によって92,000人が死亡しました.我が国も火山国の一つであり,多くの火山災害が発生しています.1792年には雲仙普賢岳が噴火し,噴火に伴う山崩れと津波で15,000人が死亡しました.最近でも,雲仙普賢岳,有珠山,三宅島が噴火し多大の火山災害を与えています.これらの火山災害を低減するため,各種の火山観測が実施されるようになってきました.この中でもリモートセンシングによる火山観測は著しい進歩を遂げ,火山観測の重要な位置を占めるようになってきました. 火山衛星画像データベースは定期的に観測された火山の衛星画像を蓄積し,これを時系列として表示することによって火山監視や火山災害の低減に役立つことを目的として構築されました.本データベースには世界の964火山を登録し,これらの火山について2000年以降にASTERで観測された全ての衛星画像を公開しています.また,新たに観測された画像はそのつど追加されます.

火山の検索方法

火山を検索する方法は2つあります。 ABC順世界の火山では,このデータベースに登録された964全ての火山をABC順に検索できます. Google Earth版では、このデータベースに登録された964全ての火山をGoogle Earthから検索できます.Google Earth版を使用するためにはGoogle Earthをインストールする必要があります.「 ABC順世界の火山」と「Google Earth版」で検索できる火山は同じです.

更新頻度

新たに観測された画像は,可能な限り早く,本データベースに登録されます.普通は観測の7日後までには画像が登録されますが,7日以上かかる場合もあります. 本データベースの履歴は更新記録の中にあります.

統計情報

本データベースの統計情報は統計情報の中にあります.統計情報には火山ごとの観測回数や,対応する Smithsonian Global Volcanism Programの火山名等が表示されます.本データベースには火山の位置を中心とした20km×20kmの範囲のごく一部でも観測した画像を登録していますが, 統計情報においては,少なくともこの範囲の中心を観測した回数のみを表示しています.

使い方

ABC順世界の火山をクリックすると新しいウインドウが立ち上がります.左側のメニューから表示したい火山を選んでください.すると以下のようなウインドウが現れます.Google Earth版では表示したい火山をGoogle Earthの画像から選んでください.世界の火山(Google Earth版)では,噴火付き火山のアイコンは活動的な火山(夜間のSWIR観測でホットスポットが見られる火山),火山のアイコンはその他の火山の位置を示します.

使い方画面

まず最初に火山名,最も鮮明なVNIR画像のサムネール,火山の位置,標高が 表示されます.最も鮮明なVNIR画像のサムネール(Best VNIR image) をクリックするとこれまでに取得されたVNIR画像で中で最も鮮明な画像を見ることができます.Smithsonian Global Volcanism Programへのリングが表示されている場合は,これをクリックして,噴火履歴等を見ることが出来ます.もし,その火山にASTERから作成されたデジタル地形モデルが登録されている場合にはDegital Elevation Model generated with ASTERというリンクが表示されますので,これをクリックするとデジタル地形モデルのページが表示されます.デジタル地形モデルのページの見方に付いては次の節を見てください.

ページ番号をクリックすると,日付の新しい画像から順番に10回分のASTER画像を時系列で表示するページが表示されます.ページ番号が小さいほど新しい画像が表示されます。「All」をクリックすると1ページに全てのASTER画像を表示するページが表示されます.

各ページには火山の位置を中心とする20km×20kmの範囲のASTER画像が時系列で表示されます.一つの欄が1回の観測に相当します.観測日は一番左側の欄でYYYY.MM.DDの形式で表示されます.これに続く3桁の番号は衛星の軌道番号です.衛星の軌道番号は地球を1周する軌道を単位として1から233まであります.衛星は1日に地球を約14.5周回り,16日毎に同じ軌道に戻ります.ここに、Hot spot(s) in SWIRと表示されている場合は,夜間SWIR衛星の観測で熱異常が観測されたことを示します.熱異常は火山活動によるものが多いと思われますが,火災や人工的な熱異常(例えば製鉄所の煙突)の場合もありますので,ご注意ください.観測時刻を知りたい場合は一番右側のImportant_Metadata-1をクリックしてください.新しいウインドウが表示されますので,その中のDate and timeのところに観測日と観測時刻が世界標準時で表示されます.表示されている画像はいずれも火山の位置を中心とする20km四方の画像です.画像の地図投影法はUTMです.画像の左上の緯度経度もこのウインドウの中に表示されています.UTMのゾーンは Important_Metadata-1をクリックして表示されるウインドウの中のUTM Zoneのところに表示されています.画像の左上の緯度経度もこのウインドウの中に表示されています.全ての画像はGDEMの標高を基にオルソ化されていますので,地図と重なります.それぞれの画像をクリックすることによってオリジナルの分解能の画像を見ることができます.画像の種類によってオリジナルの分解能が違うので,クリックして現れる画像の大きさは異なります.

VNIR画像はASTERのバンド1,2,3を組み合わせて表示した画像です.VNIRセンサには青のバンドがありませんので,実際の色とは違って見えます.火山の噴煙や火山による変水海域の検出ができます.画像の明るさは累積頻度 5-95%範囲で直線的なストレッチをかけています.このため,画像の無い場所や雲が含まれているとストレッチがうまく機能していない場合があります.オ リジナルの分解能は15m/ピクセルです.

SWIR画像はASTERのバンド9,5,4をそれぞれ赤,緑,青に割り当てて表示した画像です.夜間観測でスポット的に明るく見える場所は高温部です.画像の明るさはは累積頻度5-95%範囲で直線的なストレッチをかけています.このため,真っ暗な夜間画像ではノイズが周期的に見えることがあります.オリジナルの分解能は30m/ピクセルです.残念なことですが,SWIRセンサは2008年4月に故障し,それ以降,有効なデータは取得されていません.

TIR画像はASTERのバンド11,13.14をそれぞれ 赤,緑,青に割り当てて表示した画像です.明るい部分は温度が高く暗い部分は低温です.地表の温度は標高に伴って低下するので山の頂上は暗くなります.火山活動などによって温度が上がっている場合は明るいスポットが見られます.二酸化硫黄ガスはバンド11に相当する波長帯の赤外線を吸収するので,二酸化硫 黄ガスが分布する地域の画像がシアン色に見えます.三宅島ではこの現象が頻繁に見られます..画像の明るさはは累積頻度5-95%範囲で直線的なストレッ チをかけています.このため,温度変化の少ない海面などではノイズが周期的に見えることがあります.オリジナルの分解能は90m/ピクセルです.

Meta dataのImportant_Metadata- 1をクリックすると,表示している画像を作成する基となったデータの重要なメタデータを表示します.全てのメタデータを表示する場合は Original_Metadata-1をクリックしてください.火山が連続する2つのシーンにまたがっている場合にはメタデータが複数表示されます.

VNIR画像,SWIR画像とTIR画がすべてそろっている場合や,そろっていない場合があります.

  • 全ての画像がそろっているのは一般的な昼間の観測です.
  • SWIR画像とTIR画像またはTIR画像だけの観測は夜間観測です.
  • VNIR画像だけの場合は緊急観測です.

デジタル地形モデル

もし,その火山にASTERから作成されたデジタル地形モデルが登録されている場合にはDegital Elevation Model generated with ASTERというリンクが表示されますので,これをクリックするとデジタル地形モデルのページが表示されます.観測日は一番左側の欄でYYYY.MM.DDの形式で表示されます.

DEM画像はASTERのバンド3と3Bから計算で求めた標高 の陰影図です.ここで言う標高はWGS84からの高さですからジオイドを基準とした標高とは異なります.画像の明るさはは累積頻度5-95%範囲で直線的 なストレッチをかけています.オリジナルの分解能は30m/ピクセルです.この画像をクリックすることによってオリジナルの分解能の画像を見ることができます.

Meta dataの欄に有るテキストをクリックすると,表示している画像を作成する基となったデータの重要なメタデータを表示します.火山が連続する2つのシーンにまたがっている場合にはメタデータが複数表示されます.

知的所有権・著作権

火山衛星画像データベースで公開する情報については政府標準利用規約(第2.0版)に準拠しています。詳しくはGSJの利用規約のページをご覧ください.ただし,ASTER画像についてはPublic Domainとします.産総研は利用者が本データを用いて行う一切の行為について何ら責任を負うものではありません.NASAとの協議の結果,データ利用の際には以下の記載をお願いしております.

Imagery courtesy "NASA/METI/AIST/Japan Spacesystems, and U.S./Japan ASTER Science Team, ASTER"

(産総研著作物管理番号 H17PRO-315)

ASTERによるグローバル火山観測計画と火山画像データベース

ASTERについてもっと知りたい人のためのリンク(ASTER Science Project)

データ処理の一部は,産総研のMADASプロジェクトにおいて実施されています. MADAS関係者のご協力に感謝します.

このホームページの内容にご質問がある場合は産業技術総合研究所までご連絡下さい.