開聞岳 - 4:開聞岳の噴出物 -
開聞岳 - 詳細火山データ集 - 解説地質図
  開聞岳 目次

1:概要
2:研究史
3:地形及び地質概説
4:開聞岳火山の噴出物  
5:自然災害
6:引用文献

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4:開聞岳火山の噴出物
   その他の噴出物             
4.11__  885年噴火噴出物

 885(仁和元)年噴火では,山頂火口からスコリアの放出,溶岩の噴出があったほか,南西山麓で側噴火が発生し,田ノ崎溶岩が流下した.

 885年噴火で山頂火口に形成された火口丘( 第12図).は,下部が885年スコリア丘(885s)からなり,スコリア丘と同時期に,山頂から東山麓へ885年火砕流堆積物(885p)が流下している.その上を885年溶岩流(885l),885年溶岩ドーム(885d)が覆う.火口丘全体の比高は約250 m,底径約900 mで,鉢窪火口南縁を埋め立てている.


  4.11.1__  田ノ崎[たのさき]溶岩(Tsl)

命名 桑代(1966).
模式地 開聞岳西麓,田ノ崎.
分布・層厚 田ノ崎から東へ標高200 m付近まで追跡できる.田ノ崎では,それぞれの厚さが2〜3 mほどの2フローユニットからなる溶岩流で,開聞岳南溶岩を直接覆う.
層序関係 上位をKm12b8以降の開聞岳テフラがわずかに覆う.
岩相 田ノ崎溶岩は,新鮮な溶岩流地形が明瞭な開聞岳最新の側噴火による溶岩流で,空中写真で見ると,田ノ崎から標高200 m付近まで明瞭な溶岩堤防を持つ溶岩流地形が追跡できる.岩質は径2〜5 mm程度の斜長石斑晶がやや目立つ,かんらん石含有斜方輝石単斜輝石玄武岩である.
地質年代 西暦885年のKm12b噴火初期に噴出した溶岩流と考えられる.

  4.11.2__  885年火砕流堆積物(885p)

命名 新称.藤野・小林(1997)のKm12b火砕流堆積物と同義.
模式地 南東山麓一周道路の川尻へのトンネル西入り口付近.
分布・層厚 開聞岳南東鉢窪火口東縁を覆って,山腹から山麓まで分布する.層厚は4m以上である.
層序関係 開聞岳主山体及び874年火砕流・土石流堆積物を覆う.
岩相 885年火砕流堆積物は,開聞岳山麓を一周する自動車道沿いに点々と露出する,亜角礫-亜円礫の発泡が悪い黒色スコリアからなる火砕流堆積物である.スコリアは礫支持で淘汰が悪く,平均径2〜3 cm,最大径15 cm程度の粒径で,粗粒砂程度の粒径の暗灰色火山灰からなる基質は比較的少ない.本調査では1フローユニットからなる露頭しか確認していないが,藤野・小林(1997)は間に降下スコリアを挟む2フローユニットを記述している.高温酸化による赤色化が堆積物上部に認められる.
地質年代 西暦885年のKm12b噴火時に山頂から流下した火砕流堆積物と考えられる.

  4.11.3__  885年スコリア丘(885s)

命名 新称.藤野・小林(1997)の中央火口丘を構成するスコリア丘と同義.
模式地 開聞岳登山道,標高500 m付近.
分布・層厚 鉢窪火口内を埋め立てた885年噴出物のうち,下部の約150 m程度を占める.
層序関係 鉢窪火口南縁を埋め立て,885年溶岩流,885年溶岩ドームに覆われる.
岩相 開聞岳山頂東の,鉢窪火口縁が不明瞭になる地点直下の海抜500 m付近を過ぎると,山麓の885年火砕流堆積物に対比されると考えられるスコリア層が出現する.このスコリア層は,傾斜約30°程度で安息角に近く,主に径3〜8 cm程度の淘汰があまりよくない亜角礫スコリアからなり,逆級化構造が認められる.これらのことから降下スコリアが斜面を転動した堆積物と考えられる.藤野・小林(1997)は,これらの観察から,鉢窪火口を埋めているのは,これまで考えられていたように溶岩ドームだけではなく,スコリアを主体とする火砕丘がその下部を占めると考え,山麓の火砕流の層準,Km12b8噴出時前後に,スコリア丘がまず成長したと考えた.本報告でも同様に考え,このスコリア丘を885年スコリア丘と呼称する.
地質年代 西暦885年のKm12b噴火時に山頂から噴出したスコリア丘と考えられる.

 4.11.4__  885年溶岩流・885年溶岩ドーム(885l,885d)

命名 新称.藤野・小林(1997)の中央火口丘溶岩流,溶岩ドーム.
模式地 開聞岳山頂.922 m標高点付近.
分布・層厚 885年溶岩流は885年スコリア丘斜面を鉢窪火口縁や西側へ流下しており,小岳[こたけ]も885年溶岩流で構成されている.層厚は小岳付近で約50 mである.885年溶岩ドームは標高900 m付近以上に,比高20mほどのプラグ状の高まりを作る.
層序関係 885年スコリア丘を覆うように分布する.885年溶岩ドームはKm12b10の溶岩破片からなるテフラにわずかに覆われる.
岩相 山頂南,海抜約600 m付近の登山道付近では,多面体ブロックに覆われた安山岩溶岩流を横切る.空中写真を見ると,885年スコリア丘の斜面を,複数の比較的粘性の低い溶岩流(885年溶岩流)が流下しているのがわかる.山頂西方,海抜500 m付近に開聞岳山体斜面からこぶのように突出した小岳溶岩(桑代,1967)も,この885年溶岩流に属する溶岩流の末端部である.さらに山頂部標高900 m付近に傾斜変換点があり,それより上が,粘性に富む溶岩がプラグ状に隆起した溶岩ドーム (885年溶岩ドーム)と判断される.
 885年溶岩流,885年溶岩ドームの岩石は,径1〜4 mm程度の斜長石斑晶を大量(30 vol.%以上)に含み,斜方輝石・単斜輝石斑晶を数 %含む,開聞岳火山のなかで最もSiO2が多い斜方輝石単斜輝石安山岩溶岩(SiO2=57.02 wt%;zoom 第1表 )である.
地質年代 西暦885年のKm12b噴火後期に噴出した溶岩流及び溶岩ドームと考えられる.


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