音波探査
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音波探査は海底下の地質構造を明らかにするために広く用いられている調査手法で,海底油田探査や海底活断層調査には欠かせない手法です.原理は単純で,強力な音波パルスを海面直下で発し,それらの海底及び海底下からの反射をとらえます.音波は海水中及び海底下の堆積物の中では減衰が小さいため,海底下深部まで音波が伝わり,地層面などで反射してきます.
音波探査の模式図

一定の速度で航走する調査船の後部から音源のエアガンと反射音を受信するハイドロフォンを曳航し,エアガンから数秒~十数秒間隔で音波パルス発生させ,その反射音を受信していくことによって,連続的な海底下の断面イメージを得ることができます.これを音波探査プロファイルと呼んでいます.

音源の周波数が高いほど音波探査プロファイルの分解能はよくなりますが,水中及び地層中での減衰が大きくなります.海底下浅部の探査には高周波(数kHz以上)の音源を用いることによって,高分解能のデータを得ることができますが,海底下深部の探査には分解能を犠牲にして低周波(数十Hz以下)の音源を用いる必要があります.水中での音速はほぼ秒速1500mなので,30Hzの音波の波長は50mで,3000Hzの音波の波長は50cmです.また,地層中では音速が増加するため,波長が長くなります.

産総研で用いている音波探査システムでは,エアガン(現在はGIガンと呼ばれるモデルを使用)から高圧空気を瞬間的に放出することによって,音波パルス発生させます.このデータベースで紹介している音波探査プロファイルの分解能は30-60m程度になります.

音波探査プロファイルでは海底下の地層面からの反射が明瞭に観察できます.堆積物が厚くたまっている場所では,多くの反射面がプロファイル上に現れます.海底下の断層や褶曲も,地層面の変形として表示されます.また,堆積物の運搬作用の違いによって様々な反射面のパターンが現れます.それらのパターンを解析することによって,海域で過去に生じた地殻変動や,海水準変動などを明らかにできます.記録解釈例