| Unit 5:砂質干潟・砂州相 深度:19.3〜12.0 m 記載:下位のUnit 4から漸移的に変化し,下部のシルト質砂層 (深度19.3〜17.1 m),中部の細礫・貝化石片を含む粗粒砂層 (深度17.1〜15.9 m),上部の生痕の卓越するシルト質砂層・シルト層 (深度15.9〜12.0 m)と重なる.下位から一組の上方粗粒化・上方細粒化サクセッションをなす.下部は,シルト分を含む中粒〜細粒砂からなり,ところどころに木片やシルトのリップアップ・クラストを含む.下位ほど淘汰が良い細粒砂でシルト分が少ない.砂層中には不明瞭な葉理が認められる.中部は細礫・貝化石片およびシルトを含む粗粒〜細粒砂からなり,淘汰が悪い.貝化石の多くは破片化しており,巣穴状生痕や不明瞭だが水平面とやや斜交する層構造も認められる.また,貝化石も層をなして産出する場合がある.上部はシルト混じりの粗粒〜中粒砂もしくは粗粒〜中粒砂混じりのシルトからなる.生物擾乱および巣穴状生痕が認められ,貝化石の混入も多い.生物擾乱が弱いところでは,しばしばパッチ状にシルト片が含まれる.さらに上位になると生息姿勢を保ったフスマガイも含まれるようになる.含有する貝類群集は,下部ではマガキ,バカガイなどが産出し,中〜上部になるとクサビザラ,シマモツボ,マメクチベニ,ヒメカノコアサリなどの海生種の産出が増加する (中島ほか,2004).中島ほか (2004)では,これらの群集組成と産状から潮下帯以深の砂底の環境であったと推測している.このユニットからは,マガキから7,200±40 yrBP (深度17.2 m)と7,130±40 yrBP (深度17.05 m),クサビザラを含む貝化石片から 7,040±40 yrBP (深度15.1 m),そしてエゾマテガイから,6,200±40 yrBP (深度13.4 m)の放射性炭素年代値が得られている. 解釈:下部の砂層は,下位の泥質干潟堆積物を覆い,生物擾乱および斜交葉理が認められること,上位に重なる砂層がより古水深の大きな潮下帯以深の砂底環境であることから,砂泥干潟〜砂質干潟の堆積物 (Dalrymple, 1992)と対比できると考えられる.中部の砂層は細礫や破片化した異地性の貝化石片などを多く含み,これらが層構造をなすことから,ここでは潮流などの流れが作用していた可能性があるが,堆積構造が不明瞭であること,空間分布が明らかでないことから,詳細な堆積環境の推定は難しい.おそらく,潮下帯の砂質干潟〜砂州 (sand barもしくはshoal)などがそれにあたるだろう.上部では海生種の貝化石が増加し (中島ほか,2004),生息姿勢の貝化石も含まれるようになるので,上位のUnit 6の内湾的な環境へ徐々に移行していったことが示唆される. | ||