| Unit 4:塩水湿地から泥質干潟 深度:39.6〜19.3 m 記載:全体的に中粒〜細粒シルトからなる泥層が卓越し,比較的単調であるが,堆積構造,粒度,貝化石の分布などから,最下部,下部,中部,上部,最上部の5つに分けることができる.これらはそれぞれ下位から,塊状泥層 (深度39.6〜37.5 m),不明瞭な生痕を含む泥層 (深度37.5〜32.0 m),塊状泥層(深度32.0〜26.4 m),薄い砂層を挟む泥層 (深度26.4〜21.6 m),巣穴状生痕を含む泥層 (深度21.6〜19.3 m)と重なる.最下部の塊状泥層は,上位の泥層よりも褐色が強く,有機質である.上位の泥層はやや灰色がかっているため,境界が明瞭である.下部の不明瞭な生痕を含む泥層は,下位の塊状泥層に比べやや灰色がかり,その境界は色の違いで明瞭である。不明瞭な巣穴状生痕が全体に卓越するが,上位になるほど生痕が少なくなるとともに砂層の挟在および貝化石の混入が増える.貝化石はヤマトシジミが多く含まれている.中部の塊状泥層は,極細粒砂および稀に貝化石片を挟む.明瞭な生痕および生物擾乱は認められず,軟X線写真では弱く葉理をなしていることが多い.上部の薄い砂層を挟む泥層は,層厚1 cm以下の極細粒砂層を多く挟在する.また,多くの層準で合弁および離弁のヌマコダキガイ類が層状およびパッチ状に密集している.最上部の巣穴状生痕を含む泥層は塊状で,合弁および離弁のヌマコダキガイ類を多く含む.巣穴状生痕は直径2〜3 cmのものが多く,内部には細粒〜極細粒砂が充填されていることが多い.全体的に上部ほどこの生痕を含む.深度約32 mまでは,合弁のヤマトシジミ,ヌマコダキガイ類,カワアイなどが産出する.その上位になると,ヌマコダキガイ類が層状あるいはパッチ状に密集して産出するようになる.ここでは合弁殻を多く含む層準もいくつか認められるが基本的に離弁のものが多く,合弁であっても生息姿勢を示さない (中島ほか,2004).ヌマコダキガイ類,ヤマトシジミ,木片などから得られた放射性炭素年代値は,下位から8,110±40 yrBP (深度36.1 m),8,870±40 yrBP (深度32.8 m),8,780±40 yrBP (深度30.5m),8,170±40 yrBP (深度24.4 m),8,100±40 yrBP (深度23.8 m),8,090±40 yrBP (深度22.6 m),7,880±40 yrBP (深度20.6 m)を示す.このうち,深度36.1 mの貝化石は,深度36.0〜36.9 mのコアの上下の層相と合わず,下位とは隙間が見られる泥層の中に含まれていることから,孔壁の落下物であった可能性が高い. 解釈:全体的に塊状の泥岩が卓越しているが,堆積物や化石種の垂直変化から見ると,最下部の泥炭質のシルトからヤマトシジミが卓越する泥層に急変し,さらに薄い砂層を多く挟在し,ヌマコダキガイ類を多く含む泥層へと移り変わっている.Unit 4に含まれる貝化石は汽水生種であり,下部には塩分耐性の小さなヤマトシジミ,上部ではより大きなヌマコダキガイ類が卓越することから,潮間〜潮下帯内での,より塩分が高い環境への変遷が推定される (中島ほか,2004).上記の事実から推定される堆積環境は塩水湿地から泥質干潟であるが,粗粒堆積物や潮汐の営力を示す堆積物を含まないことから,外洋からはやや閉じられた環境が推定できる.同様にGS-SK-1より2 km程度南に位置する埼玉県三郷市に掘削されたMS-3ボーリングコア(遠藤ほか,1992)でも,およそ深度30 m (標高-28 m)以深は有孔虫が認められないことから,完全に海が入っていないか,もしくは河川の影響が強かったことが主張されている点 (関本,1992)もこの環境を支持する. | ||