| 堆積相F:プロデルタ堆積物 深度:29.2〜12.8m 記載:合弁のウラカガミガイ,チヨノハナガイ,ゴイサギガイなどの貝化石を多く含む,生物撹乱を受けた砂質シルトから構成されおり,シルトに点在する砂の含有量が増加することによって,堆積相Gへと上方粗粒化する.本堆積相の下限は,みかけ上シルトが卓越しはじめる層準(深度:29.2m)に設定する.生物撹乱をうけていない泥層中には層厚が5mm以下の極細粒砂から構成される平行葉理が認められる.珪藻化石は深度28.02m,20.01m,13.02mから採取され,Thalassionema nitzchioides,Thalassiosira spp.,Cyclotella spp.を特徴的に産出する.本堆積相は5240±40〜3620±40 yr BPの放射性炭素年代値を有する. 解釈:内湾泥底に特徴的に生息し,死後移動のほとんどない,準自生の貝化石群集を含むこと,そしてThalassionema nitzchioidesとCyclotella spp.を含むことから,沿岸河口域における内湾泥底堆積物であることが推定できる.シルトは,低エネルギー環境下における浮遊粒子の沈降によって堆積したと考えられる(Scruton, 1960;Reading and Collinson, 1996).また,生物撹乱を受けていない岩相に認められる極細粒砂の葉理は,暴浪・洪水などのイベント時に形成された堆積構造が保存されたものであると考えられる(Reading and Collinson, 1996).本堆積相の岩相が堆積相Gへと上方粗粒化し,貝化石種が浅海化,そして木片や植物片の含有量が上方へ増加するのは,デルタの前進に起因すると考えられる(Scruton, 1960; Visher, 1965; Ookmens, 1970; Tanabe et al., 2003a).よって,本堆積相は内湾を埋積するプロデルタ堆積物と解釈できる. | ||