2000年鳥取県西部地震前後の近畿地域およびその周辺地域における地下水位・歪観測結果 

鳥取県西部地震の際には地質調査所地下水観測網においても、多くの観測井において、地下水変動がみられた。 観測井はすべて伸びの領域にあると思われるが、観測井配置図に示すように、 一部に水位上昇も見られた。

変動を分類すると、地震動による水面の揺れを反映していると思われる短時間の変動。 振動直後には終了しているステップ状の変動。 それ以後にも緩やかに変動し続ける長い時定数を持つ変動がみられる。 時定数を持つ変動は応力変化以外の要因を含むと考えられる。

震源にもっとも近い安富観測井を含む7ヶ所10井の例( 図2,図3,図4,図5)を示す。 図2,図3は、安富(YST),および黄檗(OBK)観測井、 図4,図5には秦荘(HTS)、花折(HNO)、大原(OHR)、豊橋(TYH)、草薙(KNG) を示す。 それぞれ2分間隔で6時間(図2,図4)、 1時間間隔で9日間の観測値(図3,図5)を示す。

安富観測井においては短時間の地震動によると思われる水面の振動を記録した後、 ステップ状の変化が残り、その後時定数を持った長時間のなだらかな変動が続く。 安富1は深度250m、安富2、3は深度150mであり、 滞水層の状況により異なる結果になっている。

歪計の観測例(図6,図7)に見られるように、 歪の中にも一部圧縮を示す結果が得られている。 地下水位変動と同様に周囲の局所的な地質状況を反映し、広域的な応力変化とは異なる場合が考えられる。