八丁平噴火

約2500年前に最近1万年間で最大規模(約0.4km3)の八丁平噴火が起こった.八丁平噴火では山体中心部から噴火が始まり,最初に大量の比較的発泡のよいスコリアが噴出し,島内全域に5mから数10cmの厚さで降下・堆積した(八丁平スコリア層主部).このスコリア噴火の後期にはマグマ水蒸気噴火に移行し,細粒スコリア〜スコリア質火山灰が噴出した.次いで,泥流が東山腹へ流れ下った(八丁平泥流).南へ向かって噴火割れ目が開口して古澪マール(現在の大路池),山澪マール及びその南の海底でマグマ水蒸気噴火が起こり大量の爆発角礫(古澪爆発角礫岩)が投出された.山澪南のココマノコシの海食崖では,厚さは40mを越える.山体の中心部ではこれと同時に細粒火山灰が大量に生産され,火山豆石となって全島に降下・堆積した(八丁平火山豆石層).八丁平火山豆石層の厚さは東山腹で4m,伊豆岬など北部で1m以上,南山腹でも1m程度である.これらの間には風化火山灰層が挟まれないことから,地質学的に短時間内に起こったとみられる.桑木平カルデラの内側にも八丁平火山豆石層が分布することから,この噴火で新たに八丁平カルデラが形成された可能性が高い.

図11 八丁平スコリア,古澪爆発角礫岩,八丁平火山豆石層の等層厚線図 噴火年代は,八丁平スコリア直下の土壌年代値,古澪爆発角礫岩最下部の遺物包含層炭化木片年代値,及び上下の遺跡などの関係から,約2,500年前と考えられる.
古澪爆発角礫岩古澪爆発角礫岩
図12 三原山南中腹の八丁平スコリアとそれを覆う八丁平火山豆石層 スケールは20cm

図13 南海岸ココマノコシの海食崖に露出する八丁平スコリアと泥流堆積物を挟んで覆う古澪爆発角礫岩 中央やや右の横向きボールペン(長さ約12cm)付近の層準に動物骨片,土器片などの遺物を含む.

図14 古澪マール内の大路池 貴重な水源として利用されている.