降下火砕物(火山灰・スコリア・軽石)
|
岩手火山の過去数十万年に及ぶ噴火活動において,火山体周辺地域には多量の降下火山灰が堆積している(図1).最近の約10万年間の岩手火山を起源とする降下火山灰・スコリア・軽石の噴出量を,土井(2000a)および「岩手火山地質図」の調査結果による火山灰等層厚線を基に,Hayakawa(1985)の簡便法を用いて概算した.それに基づいて作成した噴出物積算量−噴火年代図(いわゆる階段ダイアグラム)が図2である.この図における積算量の平均傾斜は,数千年単位での火砕物の平均噴出率を示したことになる.西岩手−御神坂・御苗代ステージにおけるの火砕物の平均噴出率は,東岩手−平笠不動・薬師岳ステージよりも明らかに急勾配で,この間に爆発的な噴火活動が頻繁に発生したことを物語っている.また,西岩手−御神坂ステージと西岩手−御苗代ステージの間に,西岩手カルデラが形成されたと考えられており(中川,1987;伊藤,2002c),噴火ステージに応じた噴火様式の変化は西岩手カルデラの形成に対応していると考えることができる.
|

(図をクリックすると拡大されます)
図1.岩手火山における代表的な降下火砕物の等層厚線図 図中の数字の単位はcm.
伊藤・土井(2005)を一部改変
|
図2.最近約10万年間の降下火砕物の噴火年代−噴出量の積算ダイアグラム
|
最近の岩手火山の噴火活動による,周辺地域に対する火砕物堆積率を見積もる.東岩手−平笠不動ステージと東岩手−薬師岳ステージに噴出した降下火砕物の平均噴出率には,あまり変化が認められないので,両ステージにおいて噴出した降下火砕物の累計層厚の分布を示すことで,岩手火山から噴出した降下火砕物による周辺地域への影響範囲とした.
卓越する偏西風の影響で,北東側に降下火砕物の分布範囲が伸びているが,南東および南南東方向にも分布域が伸びている.
|

図3.東岩手(平笠不動火山および薬師岳火山)からにより,過去3万年間に噴出した降下火砕物の累計層厚.図中の数字の単位はcm.岩手火山の位置は薬師岳標高点の位置で代表させた.
|