シームレス地質図の利活用
2013-05-28 更新
シームレス地質図は,統一凡例で日本全国を網羅するもっとも詳細な地質情報です.
国土の基盤情報としてより精度の高い情報を提供すると共に,資源探査,土木調査,災害調査などの調査研究にも役立ちます.
地質調査総合センターではシームレス地質図をより多くの方に使っていただけるよう,
最新の研究成果のシームレス地質図への反映はもとより,
情報普及の手法開発や調査研究への応用など様々な取り組みを行っております.
ここではいくつかの例を紹介いたします.
国際標準対応
インターネット技術の急速な発展に伴い,私たちはインターネットを通じて地図や航空写真,衛星画像,
公共機関の研究成果など様々な空間情報を見ることができるようになってきました.
これまでは情報の提供者が自身の仕様でテーマに沿ったデータを集め編集していましたが,
近年では国際標準に対応したデータを作成するようになってきました.
国際標準に対応したデータを作成すると,情報提供者は国際標準に対応した他者のデータを少ない労力で取り込むことができます.
また,利用者も国際標準に対応したソフトウェア等を利用することで自身の欲しい情報を簡単に手に入れることができます.
地質調査総合センターでは各種地質図等の国際標準対応を進めております.
シームレス地質図もその一つです.ここではシームレス地質図の国際標準対応について説明します.
KML(Keyhole Markup Language)について
KML は,
OGC (Open Geospatial Consortium) が構築している国際標準の仕様の一つで,
地図情報を表示,管理するためのXMLベースのマークアップ言語です.
Google Earthの標準フォーマットとして広く普及しており,ラスター地図画像やベクトル形式データを内部に持つことができるほか,
ネットワーク上のデータを参照することもできます.
シームレス地質図では,3D鳥瞰図として閲覧できるシームレス地質図KMLを公開しています.
シームレス地質図KML
基本版
詳細版
AndroidやiPad, iPhoneなどの環境では,GoogleEarthは読み込んだKMLファイルの透明度を設定することができません.
不透明度を70%に設定した以下をご利用ください.
基本版 (不透明度70%)
詳細版 (不透明度70%)
シームレス地質図では,シームレス地質図KMLのほかに,
20万分の1の図郭ごとに区切ったダウンロードファイルも提供しています(
ダウンロードページ).
WMS(Web Map Service)について
WMS は,OGCにより開発・公開され,
現在ではISO(国際標準化機構)の仕様(ISO 19128 Geographic information -- Web map server interface)ともなっているもので,
ウェブブラウザや対応しているアプリケーションに地図画像データを提供することができます.
他機関がWMS配信する空間情報も統合的に表示することができるため,これを活用した新しい情報の発信にもつながる非常に有効なサービスです.
WMSはインターネットを利用した地理情報の国際標準の中では早い時期に決められたものであり,世界的に普及している仕様です.
産業技術総合研究所地質調査総合センターでは,2010年からWMSによる地質図等の試験配信を行っており,
2013年度から正式配信を開始しました.
シームレス地質図もそのコンテンツのひとつとしてご利用いただけます.
ご利用に関しては
こちら をご覧ください.
WMTS(Web Map Tile Service)について
WMTS は,
KML,WMS同様OGCが構築している国際標準の仕様の一つです.WMSと同様ウェブブラウザや対応しているアプリケーションに画像を提供します.
WMSと最も異なる点は提供する画像がタイル状になっているということです.
あらかじめ地図画像データをタイル分割してサーバに置いておくため,現在普及しているWMSよりもサーバに対する負荷が小さく,より安定して快適なサービスを提供することができます.
地質調査総合センターでは,シームレス地質図のWMTSの試験配信を2012年度から開始しており,2013年度正式公開に移行しました.
シームレス地質図WMTSに関する基本情報
シームレス地質図WMTSは,基本版,詳細版2種類の地質図とそれぞれの構成要素となる地質,地質境界,断層,凡例番号の4種類とその組み合わせで提供されます.
仕様の詳細については
こちら をご覧ください.
サービスメタデータ
[基本版]
https://gbank.gsj.jp/seamless/tilemap/basic/WMTSCapabilities.xml
[詳細版]
https://gbank.gsj.jp/seamless/tilemap/detailed/WMTSCapabilities.xml
利用法
本サービスはGoogle社が提供するGoogle Maps APIや,OpenLayersを用いたWebサイトで利用できるほか,WMTSに対応しているGISソフトウェアやアプリケーションで利用することができます.
→ ArcGIS 10.1 for Desktopでの利用
※ご注意
2013年5月22日現在,ArcGISでの利用時に不具合が確認されております.
地質を表示させないレイヤー(FAULT, LF, LFN, LINE, NUM)を選択した場合,
環境によって表示できない,表示が極端に遅い,ArcGISが停止するといった症状が発生することがあります.
原因は現在調査中です.
Webサイト構築支援
Webサイト構築支援ページでは,シームレス地質図のタイル画像を使って,
皆様のWebサイトでシームレス地質図を表示させる方法やサンプルファイルをご紹介しています.