2026/6/12
点群PNGはインターネット上での高速利用のために考案され,高い圧縮効率が最大の特徴であり,ある程度位置精度を落として利用することも想定していました.一方,点群PNGは位置精度や座標系を維持したまま作成することも可能であり,このため,肥大化しがちなLASファイルの軽量化フォーマットとしての利用も期待できます.このことを検討するために,元の平面直角座標系を維持したままLASと点群PNGの相互変換を行うプログラム「LAS-点群PNGコンバーター」を開発して,簡単な変換テストを行いました.
方法
データソースは静岡県が公開する以下を利用しました.
これらから大室山周辺の100ファイルを選んでソースファイルセットとしました.
- ソースファイルセット
- 北西端(08OF0300)~南東端(08OF0399)
- 静岡県大室山全体を含む範囲,東西4000m,南北3000m
- ファイル数 100
- ファイルサイズ 45.6 GB
- ポイント数 1,440,916,513(約14億点)
LASファイルとLAZファイルの変換はLAStoolsのlaszipを使用しました.
LASファイルと点群PNGファイルの変換は,Node.js環境で動作するコマンドラインプログラム「LAS-点群PNGコンバーター」を作成して行いました.
- LAS-点群PNGコンバーター
- LAS→点群PNG変換
- 出力ファイルフォーマットはPNG/WebPを選択可能
- intensity出力の有無を選択可能
- 各RGBのビット数を8/16から選択可能
※LASにはRGB各16ビットで格納されている
- 位置分解能の指定機能(小数点以下の桁数)あり
- 点群PNG→LAS変換
- 出力LASのバージョンは1.2,レコードフォーマットは0または2のみ
- 位置分解能(小数点以下の桁数)の指定機能あり
LASから点群PNGへの変換では,以下の変換オプションを試しました.
- RGB各8ビット
- intensity出力無し
- cm単位:位置分解能をcm単位に変更
※ソースファイルは1mmの分解能で保持されいる
実行環境は13th Gen Intel(R) Core(TM), i9-13900KF (3.00 GHz),RAM128GBです.
結果
LAS, LAZ, 点群PNG(WebP形式)のファイルサイズ比較
| フィルフォーマット | ファイルサイズ | LASに対する割合 |
|---|
| LAS(ソースファイル) | 45.6GB | ー |
| LAZ | 10.4GB | 22.8% (約4.4分の1) |
| 点群PNG | intensity有り,RGB各16bit, mm単位 | 10.2GB | 22.4% (約4.5分の1) |
| intensity有り,RGB各8bit, mm単位 | 10.2GB | 22.4% (約4.5分の1) |
| intensity無し,RGB各8bit, mm単位 | 7.96GB | 17.5% (約5.7分の1) |
| intensity無し,RGB各8bit, cm単位 | 7.35GB | 16.1% (約6.2分の1) |
LAZと点群PNGとの変換時間の比較
※点群PNGは最も情報量が多いオプション(intensityあり ,RGB各16ビット,mm単位)
| 処理 | フ変換時間 |
|---|
| LAS → LAZ | 330秒 |
| LAZ → LAS | 486秒 |
| LAS → 点群PNG | 907秒 |
| 点群PNG → LAS | 941秒 |
まとめ
点群PNGへの変換時に,ソースファイルに最も近い設定(intensityあり,RGB各16ビット,位置分解能1mm)で出力した場合,1/6近くまで圧縮でき,さらにintensityの省略やRGBの8ビット化,位置精度のcm化を行えれば最大でLASの約4.5分の1程度にまで圧縮できることがわかりました.この圧縮率はLAZとほぼ同程度です
一方,変換速度はLAZ(laszip使用)に比べて3倍近く遅くなっています.変換速度が大きく異なるのは,LlaszipがC++で記述されてコンパイルされたものであるのに対し,LAS-点群PNGコンバーターがJavaScriptで記述されたスクリプトであること,またCPU並列処理を導入していないことが原因と考えられます.
圧縮率でLAZに劣ることはなく,また,変換速度は今後の点群PNG関連ツールの本格的な開発で改善できるので,LASの圧縮用途でも点群PNGの利用が期待できます.