項目の定義

 岩石物性値データベース・システム(PROCK)の、各採録項目の定義、単位は以下に示すとおりである。単位のうち、無次元のものは(-)で示した。なお、本データベースでは、単位は基本的にSI単位を使用している。通常使用される単位との変換式を併せて示した。

(1) 採録ID (-)
 採録した順番等を示すID番号。

(2) 採録文献名 (-)
 岩石物性値を採録した文献名。

(3) 岩石試料ID (-)
 採録文献中に記載されている岩石試料のID名。

(4) 岩石試料採取年月日 (年月日)
 野外で岩石試料を採取した年月日。

(5) 岩石試料採取県名 (-)
 岩石試料を採取した県名。

(6) 市町村名番地 (-)
 岩石試料を採取した市町村名番地。

(7) 緯度 (度分)
 岩石試料を採取した場所の緯度。

(8) 経度 (度分)
 岩石試料を採取した場所の経度。

(9) 採取者名 (-)
 岩石試料を採取した者の名。

(10) 岩種小分類 (-)
 岩石試料の岩種の小分類。

(11) 岩種大分類 (-)
 岩石試料の岩種の大分類。

(12) 化学組成分類 (-)
 岩石試料の化学組成分類。

(13) 岩石または鉱物名 (-)
 採取した岩石試料または鉱物の名。

(14) 地層名 (-)
 岩石試料を採取した地層の名。

(15) 地質時代 (-)
 採取した岩石試料の地質時代。

(16) 坑井名 (-)
 岩石試料をコアとして坑井から採取した場合の坑井の名。

(17) コア採取深度 (m)
 コアを採取した深度。

(18) 密度(自然乾燥) (kg/m^3)
 岩石試料を空気中に数日間放置した後、その空中重量w3を測定する。次に試料を常圧で24時間以上浸水した後、水中重量w2を測定する。この試料を水中より取り出し、表面の水を拭き取った後、重量を測定しw1とする。さらに、この試料を105度Cのオーブンに24時間以上放置して乾燥し、デシケーター中で室温まで冷却した後、重量w4を測定する。以上の測定値から、次式により自然乾燥Dn、強制湿潤Dw、強制乾燥Ddの各密度を求める。測定法は、日本工業規格(JISZ8807-1962)固体比重測定法に準ずる。
  Dn = w3・d/(w1-w2)、 Dw = w1・d/(w1-w2)、 Dd = w4・d/(w1-w2)。
ここで Dn:自然乾燥状態の密度(g/cm^3)、 Dw:強制湿潤状態の密度(g/cm^3)、 Dd:強制乾燥状態の密度(g/cm^3)、 w1:強制湿潤状態(表面乾燥)の空中重量(g)、 w2:強制湿潤状態の水中重量(g)、 w3:自然乾燥状態の空中重量(g)、 w4:強制乾燥状態の空中重量(g)、 d:水の密度(g/cm^3)である。 SI単位への換算は次式で行う。
  kg/m^3 = (g/cm^3)・10^3

(19) 密度(強制湿潤) (kg/m^3)
 (18)密度(自然乾燥)の項参照。

(20) 密度(強制乾燥) (kg/m^3)
 (18)密度(自然乾燥)の項参照。

(21) 有効空隙率 (%)
 岩石試料の全体の体積に対する空隙の比。次式で計算する。
  φ = 100・(w1-w4)/(w1-w2)
ここでφ:有効空隙率(%)、 w1:強制湿潤状態(表面乾燥)の空中重量(g)、 w2:強制湿潤状態の水中重量(g)、 w3:自然乾燥状態の空中重量(g)、 w4:強制乾燥状態の空中重量(g)である。 w1、w2、w3、w4の測定法については(19)密度(自然乾燥)の項参照。

(22) 熱伝導率 (W/m・K)
 物体の内部に熱流がある場合、等温面の単位面積を通り、その面に垂直に流れる単位時間当りの熱流量とそこにおける温度勾配との比をいう。すなわち物体内部において、時間tの間にある面Sを通る熱流量をQとし、その面の両側にd離れたところの温度をそれぞれTh、 Tlとすると、熱伝導率Kは次式で表される(物理探鉱技術協会、1979)。
  K = Q・d/(Th-Tl)・S・t
ここで、 K:熱伝導率(cal/cm・s・度C)、 Q:熱流量(cal)、 d:距離(cm)、 Th、Tl:温度(度C)、 S:面積(cm^2)、 t:時間(s)である。 SI単位への換算は次式で行う。
  W/m・K = (cal/cm・s・度C)・4.18605×10^2

(23) 磁気関係試料体積 (m^3)
 磁気関係の測定を行った岩石試料の体積。

(24) 帯磁率(磁化率) (-)
 磁化の強さをI、磁場の強さをHとすると、多くの場合はIはHに比例し、 I = χHが成立する。このχを磁化率という(物理探鉱技術協会、1979)。 SI単位への換算は次式で行う。
  (無次元) = (G/Oe)・4π
ここで、Gはガウス、Oeはエルステッドである。

(25) 偏角(自然残留磁化) (度)
 岩石試料に残っている磁化の方向と地理学上の子午線とのなす角。北を0度とし反時計回りに360度までとする。

(26) 伏角(自然残留磁化) (度)
 岩石試料に残っている磁化の方向と水平面のなす角。

(27) 自然残留磁化強度 (A/m)
 強磁性体を磁界中において、温度、圧力などを変化させると、磁界を取り除いた後も磁性鉱物やその状態によって決まる安定度を保って磁化が残る。これを残留磁化と言い、安定度を保持力という。岩石等に残っていて、そのまま測定される磁化を自然残留磁化 (NRM:NaturalRemanentMagnetization)と呼ぶ (物理探鉱技術協会、1979)。 SI単位への換算は次式で行う。
  A/m = G×10^3
ここで、Gはガウスである。

(28) 消磁方法 (-)
 もともとの残留磁化を知るために、二次的な残留磁化を消すことを消磁(demagnetization)といい、その方法には主に交流消磁と熱消磁がある。

(29) 消磁条件 (TまたはK)
 消磁を交流消磁で行った場合は、かけた磁場の大きさををT(テスラ)で表し、熱消磁で行った場合は温度の値をK(ケルヴィン)で表わす。

(30) 偏角(消磁後) (度)
 岩石試料を消磁した後の偏角である。 (25)偏角(自然残留磁化)の項参照。

(31) 伏角(消磁後) (度)
 岩石試料を消磁した後の伏角である。 (26)伏角(自然残留磁化)の項参照。

(32) 比強度(消磁後) (-)
 自然残留磁化強度の対する消磁後の残留磁化強度の比。

(33) キュリー点 (K)
 自発磁化が消滅する温度。

(34) ケーニスベルガー比(Q値) (-)
 岩石の残留磁化と現在の地球磁場によってその岩石に生じる誘導磁化 (χH、χは単位体積当りの帯磁率、Hは地球磁場)との比。

(35) P波速度(自然乾燥) (m/s)
 岩石試料を空気中に数日間放置した後、 P波の速度を測定したもの。

(36) P波速度(強制湿潤) (m/s)
 岩石試料を常圧で24時間以上浸水した後、 P波の速度を測定したもの。

(37) P波速度(強制乾燥) (m/s)
 岩石試料を105度Cのオーブンに24時間以上放置した後、 P波の速度を測定したもの。

(38) 送振子種類(P波) (-)
 P波速度を測定するのに使用した送振子の種類。

(39) 受振子種類(P波) (-)
 P波速度を測定するのに使用した受振子の種類。