測定誤差および測定値の表示
測定誤差
磁化率(帯磁率)はMS2 (MS2B) の測定下限が10-6(SI)であり岩石試料の測定値の大きさから見て問題はないものと思われます.
自然残留磁化(Jn )測定の磁化強度の標準偏差値(約50%とすると)は,スピナ−磁力計の測定下限(3x10-3 SI)からみて単位体積当たりおよそ2.5x10-4程度であり,これ以下の磁化強度は意味をもたないと考えられます.したがって,これ以下の値はデータとして記載されているが使用できる数値ではありません.
密度測定はメトラ−社の上皿天秤の下部フックにケ−ジを吊り下げたものを用いました.密度は天秤の測定誤差,再現性などからみて最終的には0.00n(n=
〜 2)程度の結果がえられています.
これら磁化率,自然残留磁化そして密度の再現性は非常に良好であり長期に亘る再測定の結果も同様です.同一岩塊から切り出された複数個の測定試料は個々の試料の再現性は良好なものの,測定試料間にかなりの差が認められる場合があります.特に磁気測定においては顕著です.これは岩塊内での強磁性鉱物の偏在(不均質性)によるものと考えられます.密度についても同様ですが,下3桁のオーダーであり,これも造岩鉱物の量比の違いによるものと考えられます.
測定値の表示
これらの結果をふまえ,密度は露頭より採取された岩塊のもつ性質を示すものとして切り出した試料複数個(最低3個)の単純平均値の下3桁を四捨五入し,下2桁で表示しました.
残留磁化と誘導磁化から計算されるQn比のなかで極端に大きい値を示すものは,雷など他の要因によるものと考えられ今後検討を行う必要があります.
また密度の測定精度から見てこれより計算される孔隙率の表示は下2桁にとどめました.孔隙率は試料の体積と試料表面積に影響をうける値であるため,同一形状の試料に限定する必要があり形状の異なる試料の測定値は記入していません.
P波速度は3 方向の単純平均値を示しました.
単位の表示
単位の表示は原則としてSIとし,密度については103 kg/m3 (= g/cm3)として使用しました.
結果の表示
1.測定された,磁化率,残留磁化,Qn比,キュリー温度,乾燥密度,湿潤密度,孔隙率および超音波速度の他に採取試料の位置(緯度,経度),地質標本館で保存の標本登録番号を加えました.登録番号の記載のないものは未登録試料です.
2.参考資料として採取試料の属性(岩体名,地帯名,地域名など)は地質図(5万分の1,20万分の1)または研究論文を参照し,これに肉眼鑑定(一部鏡下観察)を加え記載しました.不明のものについては記載していません.これらは便宜的に分けられたものもあり,今後の研究進展に伴い変更される可能性があります.